株式会社R.E.A.D.

  • PHOTO by Nao Takahashi
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HAUS_M

HOUSE_M

緑と土間が繋ぐ現代の都市住宅

住宅の設計において、最も重要なことは、光・風・眺望という3つの要素を住空間に取り込むことである。しかし、住宅が密集する現代の住宅街においては、開放性の獲得とプライバシーの確保の両立は難しい。また現代の都市住宅においては、住空間の中に仕事場や収納など多くの機能が求められるようになったため、各機能を配置しながら快適な住空間を構築することも重要である。
敷地は、坂道の多い川崎市の住宅街の中にある。両隣に民家が立ち並び、北側には桜の巨木が印象的な公園が、南側には立派なクスノキが植えられた日本風の庭園が残されていた。2人の子供がいる30代夫婦のクライアントからは、シンプルで機能的な空間、天井が高く開放的な空間、 職住一体のワンルーム空間、プライバシーの保たれた空間が求められた。 私は、既存の環境を手掛かりに、プライバシーを保ちつつ、豊かな緑に囲まれた開放的な職住一体の空間形式をどのように構築するかを考えることから設計を始めた。
まず、公園と庭園という緑の環境を住空間に取り込むため、南北に2つの吹抜け空間を設け、1階をリビング・ダイニングとし、それぞれをモルタル床の土間空間で繋いだ。リビングは天高5mの開放空間で、家族全員が座れる造作ソファから北側の公園の桜の巨木が望める。
ダイニング空間の両脇には、南側の庭が望める仕事部屋とキッチンを設け、グレーチングや家具で空間を緩やかに分けた。庭は、日本庭園風の石組みや樹木を取り除き、クスノキを残して芝生を張り、アウトドア好きな家族が積極的に外へ出られる庭に改修している。また、収納・水回 りなどの煩雑になりがちなバックヤードを、全て東側の一箇所にサービスコアとしてまとめ、生活空間の快適性が損なわれないようにした。
こうして1階を、天井の高い土間スタジオのような構成とすることで、南北の豊かな緑に囲われながら、家族が活動できる職住一体のワンルーム空間とした。
リビングから吹抜けを介し、鉄骨の回り階段で2階に上がると、水回りと、家の出隅部分に3つの寝室があるプライベート空間になっている。寝室が吹抜けに面する壁面に室内小窓を設け、各寝室から吹抜け下のリビング・ダイニングの様子が見えると同時に、南北の緑への景観を寝室からも享受できるようにした。
そして、プライバシーを確保しつつ、光・風・眺望を住空間に取り込む方法として、住宅の4つの出隅を切り取り、45度方向に開けた窓を設ける方法を採用した。そうすることで、全ての部屋から隣家の気配を気にすることなく眺望が45度に開け、実際以上の広がりを感じられるようになった。この45度方向の開口は、住宅が密集する市街地でも適用できる方式だと考えている。
リビング吹抜けの北側の窓からは、公園に立つ桜の巨木が四季折々の表情を見せ、ダイニング吹抜けの南側の窓からは、クスノキの木漏れ日と風が室内に入り込み、このワンルーム空間に豊かさと変化を与えている。
私が意図した空間形式が、移りゆく四季の変化とともに、日々忙しない家族の暮らしに穏やかさと彩りを与えてくれることを望んでいる。

構造:TS構造設計(佐藤岳人)   設備:R.E.A.D. & Architects   庭園:西村工芸(西村直樹)   施工:瀬戸建設 株式会社