株式会社R.E.A.D.

  • PHOTO by Nao Takahashi
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簾戸の家

House with Fabric screen Shoji

「簾戸」が創り出す柔らかい和の光とインテリア

対象住戸は都内の閑静な邸宅街の小規模マンション中層階の南東向きの一角にある。

夏が過ぎた9月、調査でこの住戸を初めて訪れた時、南東向きの大きな単板ガラスの開口から、強すぎる直射日光が室内に差し込んでいた。「この暑さを何とかしてほしい」。これが依頼主の最初の要望だった。

その後ヒアリングを重ね、「モダンな中の和の意匠」「玄関や廊下に絵を飾りたい」「家族が一緒に過ごし寛げる空間」といった、依頼主の要望が見えてきた。ご夫妻は2人のお子さんが少し大きくなったことで、今後家から巣立っていくことも視野に、少し大人中心の生活を夢に見られているように感じた。

プランニングとしては、マンションの構造が壁式鉄筋コンクリート造で間仕切りの多くが構造壁であったため、大幅な間取り変更は行わず、南東のLDKのワンルーム空間、中央の水回りのコア、北西の個室群を、廊下で繋ぐシンプルな構成とした。

LDKは、アイランドキッチンと一体に造作したダイニングテーブルを中心とし、各コーナーに、窓に面した明るいキッチン、寛げるリビング、ホームワークやテレワークに対応するライブラリーをそれぞれ設け、家族がゆったりと過ごし寛げるワンルーム空間とした。玄関と廊下は、ギャラリーのように所々に絵画が飾れる設計とした。

課題であった南東からの直射日光の緩和と、モダンな中の和の意匠という条件を考えたとき、日本の伝統的な建具である「簾戸」を現代化した建具を作って、強い直射日光を透過・拡散させ柔らかい和の光に変換することで、それらの両方をクリアできないかと考えた。簾戸には直射日光を遮る性能を有する特殊なファブリックを太鼓張りし、格子をシルエット状に浮かび上がらせた。室内は漆喰で仕上げ、簾戸を通した柔らかい光によって、壁と天井のグラデーショナルで滑らかな質感を表現した。また、廊下の壁はホワイトセメントを掻き落とした現代的な土壁のような表情とし、アーティストの作品をかけた。

既存住戸の厳しい環境と、依頼主が目指していた暮らしとの接点上に、家族がゆったりと寛げる現代的な和のインテリアが完成した。